ROBOCIP

理事長挨拶

産業用ロボットは1980年代初頭から工場において、特に3Kと呼ばれる危険、汚い、きつい作業から人を解放してきました。

近年では、人とロボットを隔てていた安全柵を不要とし人と一緒に働くことができる協働ロボットも登場し、人にとってますます身近な存在になりつつあります。産業用ロボットの活躍の場はほとんどが工場ですが、物流分野など、工場外で活躍する例も出てきています。

一方、産業用ロボットを取り巻く国内外の社会・経済環境も大きく変化しつつあり、このような変化に迅速に対応するため、基礎研究の重要性が増してきています。

ROBOCIPは産業用ロボットメーカ9社により、産業用ロボット技術に関する基礎研究を産学連携で共同して行い、研究のリソースを有効に活用するために2020年7月に設立されました。

工場では、ユーザの好みが細分化されるに伴い変種変量生産が求められつつあります。現在ロボット化が難しい高度な作業に対しては、自動化を目指すとともに、熟練者がロボットを遠隔制御することで高度な作業を行うことが期待されています。また、ロボットの適用範囲を拡大するためには、ロボットを操作する人の大幅な負担軽減や工数削減が強く求められています。さらに、カーボンニュートラルが待ったなしの状況の中、ロボットにも大幅な省エネが求められています。

我が国では特に少子高齢化が大きな問題となりつつあり、産業用ロボットへの社会からの期待には非常に大きいものがあります。ROBOCIPは、その期待に応えるべく、5~10年先に到来が予想される本格的な人・ロボット共生社会に向けて、一丸となって基礎研究に取り組む所存です。関係各位のご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

理事長 榊原伸介